第1話アメ玉と魔法使い

あらすじ ミカゼとアクアの出会い。
村が巨大きのこにおそわれ、助けを借りるべく100年以上生きるという不老不死の魔法使いの下に遣わされた少年ミカゼ。彼は常人並ならぬ脚力で断崖をかけあがり、そこで魔法使いという少女と出会う。しかし、身の危険から彼女はミカゼの願いを聞き入れない。必ず守ってみせると誓いを立て、ミカゼは木の実割りで証明しようとする。一晩かかって木の実を割ることに成功したミカゼの前に、魔法使いアクアはようやく素顔を明かすのだった。

感想

断崖を駆け上がるミカゼ。登ってる俺はアホだー!!自分で言っといて自分でつっこむか。物語の導入としてはまずまずの出来なんじゃなかろうか。アクアのからかいっぷりと清村を思い出させる熱血漢なミカゼ。罠にはまって沈み続けるミカゼの顔がヤバイ。そして回想(死にかけ)。長老と大ババのコンビネーション技は清杉でやっても遜色ないのではないか。p38で激しく元気なのがw。ミカゼの前に現れる猛獣。土塚アニマルにはこういうのいないな。

ついにアクア登場。13歳にしてはちっこry清村のごとく怒るミカゼだがアクアには適わない。年季が違うってか。いきなりシリアスになったりもする。土塚漫画はメリハリ利いてていいな。ミカゼの言葉に自分の過去を思い出すアクア。過去編はいつになるんだろうか。アクアのアメを噛み砕く癖は不機嫌な証拠。しかしミカゼは責任感が強いな。遊び呆ける村人もつゆ知らず、懸命にアクアに認めてもらおうと努力するんだから。さすが主人公。少年漫画しているよ。アクアの「あんたが弱いから」も年季がかった重い台詞だ。今までのアクアが背負う過去を物語っているかのよう。結局ミカゼは足技であっさり要求をこなす。土塚漫画はこういうの多いな。王道の少年漫画。自分は好きだ。


第2話おめんとミカゼ

あらすじ 断崖を降りてアクア死亡まで
アクアをおんぶして村まで走り帰るミカゼ。彼は保険にときつねの面までかぶることとなった。途中、ミカゼはアクアの不老不死と魔法に関して聞き、その無敵とも思われる力を見せられる。元気にはしゃぐアクアだったが、道中突然毒に倒れる。そしてそのまま不老不死の魔法使いアクアは死に至るのだった。

感想

しょっぱなからマイペースなアクアはさすが。第2話はまったり雰囲気が漂う。あとになって読み返すといろいろと面白いこともある。見開きの竜は土塚氏ならではの一芸か。清杉ネタ再臨。お面。でも通気性良くなって高機能化している。不自由しない。話が脱線するがアクアは横顔が栄えるな。土塚氏は横顔の方が上手い。さて本編は襲い掛かってきた償金取りをさっくり倒して街へ。アクアのアメ屋の小エピソードはいい感じだ。きっとこうやってアクアたちが確かに存在した足跡が残るんだろうな。しみじみ。

今度はアクアがシリアスな語りを始める。p115の黒いコマとか、よく出来ていると思う。清杉時代の勢いあるギャグもいい味を出していて差し支えない。マテリアル・パズルの概念は大事だからここで簡単にまとめよう。本編では組み替えるのは自らのオーラになっているが、これは自らのオーラを使って対象(あめ玉とか)のマテリアルパワーを操作して使いやすい形に変換する、と捕らえておいたほうが分かりやすい。マテリアル・パズルはオーラの組み換えが基本で、どんな魔法でもオーラ、マテリアルパワーを分解して再構築しているという構図を捕らえておこう。

さて、アクアは不死身にさせられたこと、もといその原因になったグリ・ムリ・アを激しく憎んでいるわけだ。死を失った人間。MPはファンタジーながらこういう深い設定が散りばめられていて、大人でも十分楽しめる少年漫画となっている。繰り返されるお面ネタも人間の笑いのつぼをよく押さえてるなと感心する。本編、強力な魔法を見せるアクアだが、突然毒に倒れてしまう。そしてそのまま死にいたる。なんとも意外な展開だ。p138、黒いシルエットに白い線が一本引かれ、画面が引き締まっている。いろんな要素が詰まっていて冒頭から読み込める漫画として十分ではないか。

 


第3話ライターと少年

あらすじ ティトォに変換 アビャクら迫る
呆然とするミカゼ…。一方では不老不死の魔法使いを追い求め、謎の二人組みが暗躍していた。そのひとり、アダラパタは「存在変換」のエネルギーを察知。場所を特定する。ミカゼの目の前でばらばらに分解されるアクア。そしてそこに現れたのは、全く別の人間、ティトォ。状況の理解できないミカゼだったが、アクアに代わって村を救うというティトォ。しかし、村はきのこを食べ、全く無事だった。ティトォは話す。存在魔法について。ミカゼは底知れぬ興味を抱いていた。

感想

冒頭アクアの死を目の当たりにしたミカゼの反応がいい。一方ではアビャクとアダラパタが暗躍している。正直ここを読んだ当時はアダラパタがこうも重要なキャラだとは思いもしなかった。アダラパタは物語のジョーカー役として、また説明役としても非常にいい立場にある。アビャクの目的、不死の力、存在変換。物語は徐々に広がりを見せる。存在変換のp153は非常に臨場感あふれいいコマとなっている。

本編ではティトォが現れ、アビャクがボンバーになって現れる。そして物語の要、に見えたヤマクイダケはものの見事に食されていて、これにて序章完。なんとも奇想天外な展開だ…。ティトォが語る内容はMP世界の広がりを表していて非常に興味深い。命七乱月とか重要単語もちょくちょく出てくる。そして今後の戦いを示唆して終わる。戦闘場面なしでもMPは面白いな。